4月29 日、ボール紙を利用した仮設大聖堂の建設予定地で起工式が行われました。

建設地はマドラス・ストリートとヘリフォード・ストリートの角に位置するラティマー広場前。


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聖公会のヴィクトリア・マシューズ主教が聖水で土地を清め、
設計担当した日本人建築家、坂茂(ばん・しげる)氏自らが土を掘り返して正式に着工しました。


仮設大聖堂の主な目的

礼拝・奉仕活動の場を提供すること

市中心部で開催されるコンサート、展示、市民のための行事などに会場を提供すること

旅行者や住民が再び市中心部に集まれるようにすること

姉妹都市、倉敷市との絆をさらに強化すること

クライストチャーチ復興のシンボルとなること




国際的建築家、坂茂氏はどんな人?と言う方への豆知識

坂氏の仮設建築は特に有名で、紙のログハウス(神戸・トルコ)、コンテナ仮設住宅・仮設集会所
(女川)の他、緊急シェルター(ハイチ)や仮設校舎(中国・成都)など、数多くの災害支援プロジェクト
を手がけています。

クライストチャーチにも自ら7 回足を運び、仮設大聖堂を設計しました。従来のコンセプトを受け継ぎつつ、市の新たな未来を見据えたデザインになっています。

さらに詳しい情報については坂氏の公式ウェブサイトをご覧ください。

ボール紙 - 革新的でサステナブルな素材。 紙は調達しやすく、丈夫でリサイクル可能な
優れた素材を使用。しかも、コンクリートを上回る耐震性を発揮することができます。
紙を利用した板氏の建築は、使用後の解体・リサイクルも容易に行えるよう配慮されています。
これまでの実績によると、20 年間の使用に耐えた建造物もあるということです。


仮設大聖堂のデザインCardboard-Cathedral-Project-Approved_article_full


コンクリートの基礎の上にA 字型の構造を形成。構造を安定させるためにコンテナを使用。

筒状の紙の柱を徐々に角度を変えながら組むため、奥へ行くほど屋根の高さは高くなります。また、内部空間は祭壇に向かって幅が狭まっていき、紙管の並びが美しく見えるように配置されます。

屋内500 人、アトリウム部分200 人、計700 人まで収容可能。

座席は移動できるので、用途に合わせてレイアウトを変えることができます。

プロポーションは従来の大聖堂の身廊を基にしています。

マラエ(マオリの集会場)の形状も取り込まれています。

1851 年に建造されたクライストチャーチ初の教会もA 字型構造だったため、市の始まりともリンクしています。


工費は550 万NZ ドルの見込み。市税から維持管理に年間24 万NZ ドルが充当されることになっていますが、
これについては地元住民の一部で批判が出ています。

竣工は2012 年11 ~12月を予定しています。完成の暁には、市内でも必見の見所となるはずです。